Philippines  セブ・マクタン島

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【 ハロハロ 其の弐 】

ハロハロ

さて次の目的地はフードコート。 今上ってきた螺旋階段を下り、「フードコートはどこですか」と、またインフォメーションデスクのお姉さんに尋ねた。 今度は、さっきのお姉さんとは違うお姉さんが答えてくれた。でも顔はそっくり。顔の作りが、というより、すました表情が。

フードコートは、お姉さんが教えてくれた通り、入り口と同じ階の、右へずっと行ってちょっと曲がったところにあった。 といってもこのモール、果てしなく広いから、すご〜く歩いた。ちょっとこの広さ、自転車が欲しい。

フードコートに入ると、ここもすご〜く広かった。ハワイのアラモアナSCよりなお広い。 一体全体、フードコートがこんなに広い必要ってあるんだろうか?  こんなにたくさんの座席が半分、いや3分の1でも埋まることがあるんだろうか?  少なくとも今はガラガラもいいところ、この広大な広間にほんの数組しか座ってない。 食事をするには中途半端な時間帯のせいもあるけれど。

フードコートをとりまく店の数も多くて、一体どこから見たらいいのやら‥。 うさぎがボーゼンとしていると、きりんが春巻きをどこからか買ってきて、 それに触発されたうさぎもレチョン(子豚の丸やき)を見つけ、一皿買ってきた。 皮の部分がパリパリでおいしいと聞いていたので、しっかり皮の部分を入れてもらうよう指示して買ったけれど、 食べてみると特においしいとは思えなかった。 たぶん焼きたてだったら全然違っていたと思うんだけれど、すっかり冷めているこれは、 皮がパリパリというよりバリバリで固く、しかも毛が生えていてゴワゴワしていて、 中の肉はパサパサで冷たくてあじけなかった。まあレチョンを食べただけで良しとするか。

それから、ここでも「ハロハロ」。 ある店のメニューに見つけて注文したものの売り切れていてガッカリしていたところ、 ちょうどそこにハロハロ売りのお姉さんが登場、 「ハロハロはいかが?」と言うので「いくら?」と尋ねると、「46ペソ」。
50ペソ硬貨を出すと、おつりが3ペソ戻ってきた。 あれ、何で3ペソ?と思ったら、お姉さんは1ペソ硬貨を追加し、またそれを取り上げて、やわらかい声で言った。
「この1ペソ、わたしがもらってもいい?」と。
「あ、どうぞどうぞ」と答えたら、お姉さんはまた柔らかな声で「サンキュ」と言って、 ハロハロにミルクをかけてテーブルに置くと、行ってしまった。 うわあ、可愛い! チップを請求されたのに、なんだかほのぼのしてしまった。 だって、1ペソって、3円しないんだよ?  最初から47ペソと言って売りつけたって分かりはしないだろうに、こうやって1ペソづつ稼いでいくんだなー、 と思ったら、目頭が熱くなってしまった。

こうしてお姉さんが置いていったハロハロは、マックシェイクのカップのような、 発砲スチロール製の縦長の容器に入っていた。見た目がさっきホテルで食べたのとは全然違う。 けれど、スプーンで中のものをすくってみると、やっぱり"ハロハロ"、 得たいの知れないものが、ごちゃごちゃと入っていた。そのハロハロぶりは、お昼に食べたハロハロよりもすごい。 だって、カキ氷とミルクの混じった中に浮いていたのは――。

白玉のような食感の、むらさき色のつぶつぶ。直径3ミリくらい
白くて柔らかいフワフワ。カッテージチーズ?
コーンフレーク
ナタデココ
とうもろこしの粒
白くて細長いもの。塩でしめた大根のようなしなやかな食感。味はない
濃いピンクの細長いゼリー状の帯。味はない。寒天の一種?
同じく濃いグリーンの細長いゼリー状の帯
マンゴーおよびパイナップルなど、果物のかけら

このハロハロを一番よく食べたのは、またしてもうさぎだった。とりあえずキライな味のものは一つもなかったので。 でも後の3人には不評だった。
チャア曰く「コーンは好きだけど、何も果物と一緒のものに入っていなくても‥」
わが家の甘党コンビ・ネネときりん曰く「上にかけるものが牛乳っていうところがちょっとね。練乳だったらいいのに」
こうして皆がそっぽを向いてしまったハロハロを一人で消化したうさぎであったが、 具がほとんどなくなってあとは氷入りの牛乳状態になった頃、ふと思い出した。
「この国の生水が危険なのはご存知ですね?  ホテル以外の場所では、氷もすべて生水で作られていると思ってください」と現地係員さんが言ってたような‥。 もしかして、このカキ氷の氷もキケンなんじゃ‥? 

わー! 思いっきり食べちゃったよー! どうしよう?!

さしものうさぎも、お腹を壊すのはいやだったので、氷牛乳を飲むのはやめておいた。 幸い、下痢にならずには済み、ホッとした。

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