フィリピンの地図と地理の本を一冊買い、うさぎも買い物に満足したところでゲームセット。
さっきタクシーを降りたところで、帰りのタクシーに乗り込んだ。
帰りのタクシーの相場は150〜250ペソが相場と聞いている。
「まあ300というところを250に値切って乗れば‥」とうさぎが言ったら、
「えっ? 250なんて高いよ! 相場は150なんだから」ときりんは言ったものだった。
ところが。案の定「300」とふっかけてきた運ちゃんに、あっさり頷くきりん。うさぎはびっくりして、
「ちょっと! ダメよ300じゃ。高すぎるわ!」と横から口をはさんだ。
「あ、じゃ200で」と慌てて言い添えるきりん。しっかりしてよね。
運ちゃんは、聞きなれない言葉で二言三言何かを言ったが、こちらが全く理解していないのを悟ると、「250」と言った。 きりんはそれで手を打った。
タクシーがうさぎたちを乗せて走り出すと、メーターも回り出した。
うさぎはメーターが回るのを興味深く見守っていたのだが、プランテーションベイの車寄せに着いたとき、
メーターはまだ125くらいだった。
「うーむ、相場といわれる150でさえ高いわけだ」、タクシーを降りてからうさぎが言うと、
「きっと、会社にはあのメーターで申告するんだな。で、残りはポケットマネーってわけだよ」ときりんが言った。
なるほど、いい商売である。だって、チップも20ほど別に払っているのよ? あぶく銭が簡単に100ペソ以上も手に入るとは。
1ペソづつチップを稼ぐハロハロ売りのお姉さんとはえらい違いだ。
更に、420ペソプラス20ペソも手に入れたタクシーの運ちゃんときたら‥。
――もっとも、のちに本で読んだところによると、フィリピンの乗用車は日本以上に高額で、 タクシーの運ちゃんは会社から日に600〜700ペソものレンタル料を支払って車を借り受けて営業しているのだそう。 お客がついてなんぼのこの商売にしてこのレンタル料は痛い。 先にこの事情を知っていれば、もうちょっと運ちゃんにやさしくなれたのにと思ううさぎであった。