Sudan  首都ハルツーム

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【 大冒険の始まり 】

ラクシャ

友達と二人きりで「ハルツーム市内・冒険の旅」に出かけた日のことをお話しましょう。 これがほんと、わたしにとっては一大冒険でした。

ハルツーム滞在中、わたしたちはスーダン人の知人の家にずっと滞在していました。 更に、偶然、同行者の友達に現地でバッタリ出会い、その人がすごく親切で、 「ここに行きたい」とか「あそこに行きたい」といえば車でどこにでも連れて行ってくれて、 それまで全く苦労しなかったんです。

でも、全てお任せで連れて行ってもらうと、ノーミソが怠けて、全く街の地理を覚えないのね。 何度同じ通りを行き来しても、その通りがどこに通じるのか、いつまでたっても覚えない。 せっかくスーダンに来たのに、この街の右も左も分からないまま日本に帰るのはイヤだな、と思い、 やはり一度は自分の足で歩かないと、と思ってある日地図を買い、家の場所や主要な通りの名まえや大きな建物の位置を確認して、友達と二人、街に出ることにしました。

でもホストマザーには反対されましたよ。 「言葉も分からないのに、道も知らないのに、どうやって家に帰るつもりなの?!」って。

ハハハ・・・言葉も分からない・・・? 一応これでもアラビア語を二年やってきたんですけど(涙)。 でも同じアラビア語でも、ここで話されているのはスーダン方言。 だから実際、その通り。 ところがこういうセリフだけは、なぜかカンペキに分かってしまうのよねえ・・・くすん。

「ラー・ムシュケラ(問題ない、大丈夫)」を繰り返し、実際、問題ないと思い込み、意気揚々と出かけました。 あとから振り返ってみると、問題大ありでしたけれど。

◆◆◆

滞在していた家はハルツームの中心から数キロ離れた住宅街の、大通りのすぐ近く。 当初の予定では、この大通りで「ラクシャ」を捕まえて、まずはハルツーム大学の向かいにある「民族博物館」を訪れる予定でした。

ラクシャっていうのは、バイクを改造して作った小さなタクシーのことです。 タイでいうところの「トゥクトゥク」。 こういう車を、日本語の「人力車」からの連想で「ラクシャ」とか「リキシャ」と呼ぶ国は多いです。

ラクシャは普通のタクシーより安くて、比較的短距離を移動するのに使います。 1〜2キロの距離なら、100円という言い値を半分くらいに値切れば、わずか数十円で行ってくれる。 だから最初は大通りで、これが来るのを待ちました。

でもスーダンは暑い! 3分も待てばラクシャは確実につかまると分かっていたのですが、30秒待つうちにも汗がダラダラでてきて、 ちょうどバスがやってきたので、それに乗っちゃいました。一応行き先だけ確認して。

「イラー・ナファク?(ナファクへ行く?)」と尋ねると、運転手ばかりか、バスに乗り合わせた人々が口々に 「ああ、ナファクに行くよ、さあ乗れ」と言ってくれ、座る場所を空けてくれました。

あ、ちなみに、ハルツームのバスに「立ち乗り」というのはありません。 席が全部埋まったら、もうお終い。乗り切れなかった人は次のバスを待ちます。

「ナファク」というのは、ハルツームのバスターミナルです。 とりあえずこのバスターミナルに行きさえすれば、バスを乗り換えることができて便利。 だからとりあえず、ナファクを目指したのです。

バスは小型のマイクロバスで、そのほとんどが、日本や韓国からの中古車です。 だから「〇〇スイミングスクール」とか、「結婚式場〇〇苑」みたいなロゴが車体に書いてある^^。

バスの中は混んでいて、ほとんど男性ばかり。 外国人の、しかも女性が乗り込んできたので、周囲の人々は興味津々。わたしたち、ちょっと場違い?

しばらくすると、バスの集金係が指をならし、乗客に運賃を払うよう促しました。 集金係に近い席の人は直接運賃を手渡し、遠い席の人の運賃は、隣へ隣へと順繰りに、集金係まで届けられます。 おつりも同様にして、集金係から支払った人へと順繰りに戻されます。

バスの運賃は0.4スーダンドル(16円)。 でも「ハムスミア(500)」と呼ばれる0.5スーダンドル以下の通貨って、ほとんど流通していないようなので、実質0.5ドル(20円)。

しかし、どうもその「ハムスミア」で払う人もあまり見かけない。 バスの運賃は隣同士に座った人が二人で1ドル支払うことが多く、たとえ見ず知らずの人同士であっても、 どちらかが二人分支払う。わたしたちのバス代も、いつの間にやら見知らぬおじさんが払ってくれていました。

なんとまあ、おおらかというか・・・。 「金は天下の回り物」という発想が根付いているのか、 それとも「おたがいさま」の精神なのか。 タクシーではなくバスに乗るのだから、それほど金持ちなわけでもないでしょうにね。

決して金銭的に豊かなわけではないけれど、人のバス代まで快く払える程度の余裕はある。 そんなところが、ハルツームの魅力です。

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