【 うさぎの胃が痛むわけ 】
朝４時半起床。電車に130分揺られて、７時40分に空港第二ビル駅に到着した。
空港の出発ロビーに着くと感慨もひとしおだった。
やっとここまできたかー
って感じ。ここ一週間、いろいろあったもんな。 ついおとといまでチャアが熱を出していたし、パパは一昨夜、徹夜勤務だったし。
そういったハプニングが起きるたび、うさぎは肝を冷やし、ついでに胃を壊したのだった。 実は今だってまだ胃が痛い。かなり痛い。歩くのがやっとなくらい、痛い。 旅への期待が膨らめば膨らむほど、〔もし行かれなかったら‥〕という心配も膨らんで、 うさぎのやわな胃を刺激するのだった。
ハワイに旅行してから早６年。海外旅行は本当に久しぶりだ。 この旅行に行きたくて行きたくて、一生懸命、住宅ローンを返し続けた。 その悲願の旅行に行けなくなるだなんて自体だけは絶対に避けたい。 そう力めば力むほど、皮肉にもうさぎの胃はどんどん壊れていくのだった。
実はうさぎは、直前になって旅行を断念したことがある。 10年ほど前、旅行出発の当日に突然インフルエンザに罹り、憧れのイスタンブールに行かれなくなったのだ。 そんな経験があるものだから、必要以上にナーバスになってしまうのだろう。 空港までやってきても、まだ胃の痛みから解放されないのだ。
空港に到着してすらも
飛行機に乗り遅れたらどうしよう
という心配から心安らぐことのなかったうさぎの胃痛は、乗った飛行機が成田を飛び立ってしばらくしてから、 やっと良くなったのであった。