Thailand  プーケット島ラグナエリア

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【 プーケットの風景 】

今日はパンガー湾観光だ。フロントで絵はがきを数枚出し、8時半に来るはずの車を待った。 〔今日こそ大型バスが来るかな〕と思いながらロータリーを見回すと、お誂え向きの大型バスがいた。 だが、その赤い車体には「中華観光」の金色の文字。JTBのバスではないらしい。

JTBの車は8時50分になってやっと来た。 結局きのうと同じようなワゴン車だ。 運転手のほかに、日本語の上手な、孫(ソン)さんという中華系のガイドが乗ってきた。
車の中には先客もいた。お隣のバンヤンツリーに泊まっているという老夫婦だ。 彼らは、滋賀県から関空経由でおとといプーケットに来たのだそうだ。

JTBの車で観光に向かいながら、先客のじい様が「JTBのツアーは高い」としきりに文句を言った。 HISのツアーだったらさぞかし安かっただろうに、滋賀にはHISがないと、悔しがっている。
うさぎは、「わが家ではHISのツアーも検討したが、JTBの方が安かった」と言ってやった。
だがじい様は聞く耳をもたない。いやいやそんなはずはない。 HISはどこよりも安いはずだ、価格破壊の旗印なんだから。そう言っては一人で悔しがっている。
だけど、そりゃ隣の芝生が青いだけの話だ、とうさぎは思う。 バンヤンツリーのプールヴィラに、そうそう安く泊れるわけがない。
尤も、じい様がHIS、HISと騒ぐのは価格以前の問題のようだった。 むしろ、今をときめく快進撃カンパニーを利用してみたいというミーハー精神なんじゃあないかとうさぎは思った。 まあ、東京方面にお越しの際には、HISの前で写真を撮って帰ってちょうだい‥。

パンガー湾までは一時間半のドライブだった。 子供たちときりんは途中で寝てしまったようだが、うさぎはタイの田舎の風景が見られると思うとワクワクして、 車の外ばかり見ていた。じい様も窓の外にいろんなものを見つけては、「あれは○○だ」とばあ様に説明していた。 なんかこのじい様、ちょっとうさぎとタイプが似ているかも‥。

プーケットには山がちなところと平地のところがあり、山道がうねうね続いたと思うと、 突然見渡す限りの広い湿地帯に出たりする。
湿地帯には水牛がいて、そのそばに高床式の粗末な小屋があった。壁は木の皮か何かをあぜ状に編んである。 中で人が数人、車座に腰を下ろし、手掴みでごはんを食べていた。まるでNHKの取材番組に出てきそうな光景だ。

一方で、町中にはオシャレな家も多い。白壁の近代的な家はみな間口が狭く、奥行きが深い。 必ず玄関が通りに面しており、多くはその前にバルコニーがある。 バルコニーを支える柱がアーチ型になっていたり、窓にくるくるした模様の白い格子がはまっていたりと、装飾的だ。 ほとんどの家は平屋建てで、公的な建物やお店、ひときわ大きな豪邸以外、二階建てはほとんど見なかった。 モンスーンをよけるためだろうか。

普通の家には門や柵がなく、玄関近くに小さな社があった。 それは百葉箱くらいの大きさで、地面から1メートルくらいの高さに作られている。 タイ寺院のミニチュアみたいなもので、カラフルに色が塗られ、色とりどりの花輪が下げられていた。 日本の神棚か、はたまた仏壇のようなものなのだろうか。アラマンダの玄関脇にも、立派なのがあったけれども――。

その他にも初めて見るものがいろいろあった。芝生の原っぱに作られた、廟らしきもの。 中国っぽい龍が描かれている。それに、白くて巨大なメレンゲみたいなもの。 窓も入り口も見えないけれど、これも建物なんだろうか。

逆に、日本と変わらないのは、学校や保育園など。どこも新しくてこぎれいだった。 カラフルな手押し車や三輪車、ベビーカーが民家の玄関の前に置かれている。 たとえ家がみすぼらしくとも、こうした子供用品だけは新しくてきれいなのも、日本と変わらぬ光景だ。

山道に面して、ゴムの木の植林も見た。ゴムの木はひょろ長くて、先の方だけが枝分かれしていて、葉がついている。 まるでホウキを逆さにしたみたいなかたちだ。きりんは樹液を採っているところも見たそうだ。 むかし東南アジアの地理で習った「ゴムのプランテーション」っていうヤツだな。

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